技術士資格は『切り札』になるでしょうか?
                                                        Women Professional Engineers Society of Japan
                                            女性ジョセイ技術士ギジュツシカイ
  ご存知でしょうか?2003年 3月末現在、技術士会に登録されております技術士の登録者総数は 53,619人です。その中の約400人 (0.7%) が女性です。
 女性の若い技術者は多くなってきていますが、技術士の資格取得については、このような現状にあります。
 私たち  『女性技術士の会』  は、科学技術のあり方を巡って女性の視点で意見交換をするため、技術分野の横断的な連絡組織として1993年10月に有志が集まり、発足しました。
 当初は38名の参加者によるスタートでしたが、2003年2月末で技術士122名、技術士補13名となり、さらに 2003年の春に10名の技術士新会員を迎え、10月現在、145名の会員により活動しております。
 活動の一つとして女性技術者の実態を把握することを目的とし、1996年よりアンケート調査を実施しております。第1回目の結果は、1996年の「技術士全国大会」で、第2回目の結果は1999年に我が国がホスト国となって開催されました 「第11回国際女性技術者科学者会議」 で発表して参りました。
 今回の全国大会にむけて、本年3月に 「女性技術者にとって【技術士】は切り札になりうるでしょうか?」と題し、実施いたしましたアンケートの一部をまとめました。
 現在、女性を取り巻く就業環境は様変わりし、働くことの切実さも変わったと感じられますが、新たな世紀を生きる技術者は男女を問わず、大きな価値観の変革を受け止め、時代を堅実にリードしていくことが望まれます。
  このような時代の 【切り札】 とは何か、資格取得を含めていろいろな意見を御覧ください。
 『女性技術士の会』会員の年齢は30代後半から50代前半が多くを占めます
5年前に比べると、30代前半が少なくなっていますが、30代後半から50代前半の年代間で均衡がとれてきています。
会員は14部門に登録しており、半数以上を建設部門が占めています
技術士122名のうち、建設部門が63%で圧倒的に多く、環境が11%、総合管理、水道が10%でこれに続きます。また、複数登録では、2部門が11人、3部門が3人、4部門が1人となっています。
技術者としてのセールスポイントは《企画提案》と《経験》のようです
《企画提案》と《経験》を半数以上が占めたこの結果は、経験ある技術に裏打ちされた、新たな社会ニーズに応える個々の積極的な姿勢と自信が読み取れます。《資格》もその一つと考えられるようです。
仕事をするうえで個々の魅力となるパーソナリティーは《誠実な対応》を多くの人が心がけています
対外的に誠実な対応を心がけることが、延いては貴重な人的ネットワー クにつながるということでしょう。また心身のタフさは、サービス精神や笑顔、周囲への気配りへつながるゆとりの現れではないでしょうか。
離職をしたことがある方は約半数を占めます
5年前に比べると離職経験者は7ポイント増えています。
その理由は《転職》が多くを占めています
本調査では転職とリストラで54%を占めます。5年前は出産・育児の21%が最も顕在化した数値でした。この結果からは、積極的なキャリアアップや、不景気による職場環境からの離脱といった時代性が感じられます。離職者は70%がスムーズに復職しており、そのうちの40%は資格が復職に役立ったと答えていますが、当時、資格がなかった49%もスムーズに復職を果たしています。
専門分野のさらなる発展を目指し、環境分野を始め、様々な分野との協働が必要だと考えています
現在、環境を考慮しない仕事は考えられない反面、経済・金融・経営との協働を望む方向は、時代の要請に対する対応力と、緻密なコスト意識のあらわれが感じられます。また教育・社会学は近年の住民参加に対するスキル、福祉・厚生・医療は高齢社会への対応など、高い専門性が求められている状況への積極的な対応が読み取れます。
これからの技術士の役割はいろいろな場面での社会貢献を重要視している傾向がみられます
  ●技術分野における社会貢献
     専門技術の提供
     技術情報の提供
     技術者の育成
     発展途上国への技術支援
  ●就業環境分野における社会貢献
     女性の就業環境の整備
     技術士の社会的地位向上への努力
     海外も視野に入れた生活環境への提言
技術士はあなたにとって『切り札』になりますか?
 54%が技術士資格は切り札にならないと答えています。
 
それでは何が『切り札』になるのでしょうか?
  ●実力と経験
    求められる以上の成果の創出
    多くの経験
  ●人格
    誠実さや魅力的なパーソナリティー
    行動力や柔軟性
  ●時代への対応力
    時代の要請に対応できる技術力とスピード
  ●その他
    人的ネットワーク
    組織力
 以上が多くを占める意見でした。仕事は臨機応変、かつ幅広い技術力と、加えて組織力が必要ということでしょう。また、現在の多様な価値観とニーズに対応するためには、個人の力はもとより組織としての力、すなわちより緻密で広がりのある総合力が求められる時代ということではないでしょうか。