第11回国際女性技術者・科学者会議(ICWES-11)の報告


組織委員会での一コマです。左から三番目が都河事務局長、四番目が大島女性技術者フォーラム運営委員長、五番目が数野女性科学者の会会長です。

開会式で挨拶をされる石井組織委員長
 1999年7月24日(土)〜27日(火) 千葉県幕張メッセ国際会議場にて 第11回国際女性技術者・科学者会議(ICWES-11)が 開催されました。  
開会式には名誉総裁をしてくださった 高円宮妃久子殿下のご臨席を賜りました。 また、有馬文部大臣兼科学技術庁長官、 沼田千葉県知事、松井千葉市長も御来賓として出席くださいました。
続く、基調講演は本会議組織委員長の 石井道子元環境庁長官、Yvonne T. Maddox米国立衛生研 究所Deputy Director、坂田俊文地球科学機構機構長、の 3人の方の御講演が有りました。また、昼におこなわれた ウェルカムパ−ティ−では高円宮妃久子殿下が 内外の女性科学者・技術者となごやかに御懇談されました。

 会議での発表は3日間にわたって行なわれ、Science and Technology for Global Ecology のテ−マでは、Human impact、Energy,Industry, Transportation and Information、Quality of Life、Education and Ethics、Women and Science のテ−マでは、Women and Science、 Women in the Medical Fields のセッションに分かれ、口頭・ポスター あわせて175(海外79、国内96)の発表がありました。
 その他併設の行事では、24日、25日の2日間地元千葉県の小中高 生と海外の科学者によるジュニアサイエンティスト国際会議が開かれ、 子供たちからの環境に関する研究発表と身近な理科実験をおこない、1 日目には高円宮妃久子殿下による「氷山ルリの大航海」の御講演が有り ました。また、25日には公開シンポジュウム「地球環境に果たす女性 の役割」がおこなわれ、関東近県の地方自治体の取組み、 内外のNGOの取組みの報告がなされました。
 女性技術士の会は、団体発表で「Women Consulting Engineers :A look into their work and their lives(女性技術士の仕事と生活の現 状を探る)」の演題で、会員を中心とした女性技術士のアンケ−ト調査 結果の一部を発表しました。また、個人でも日ごろの研究や業務の成果 の発表がありました。
 発表内容はプロシ−ディングスに納められています。女性技術士の会 のアンケ−ト調査結果は発表しなかった内容も含め冊子にまとめられて います。ご希望の方はご請求ください。プロシ−ディングスは1部 2500円(約600頁・送料込み)、アンケ−ト調査結果は250円 (送料込み)でお分け致します。
 第11回国際女性技術者・科学者会議(ICWES-11)は36ヵ国1地域か ら1400人が参加し大変盛会のうちに幕を閉じました。4日間の会議 の最終日には内外へ向けての以下のような提言がまとめられました。


提言
1.女性技術者・科学者の国際的ネットワ−ク(ICWES-NET)作りを
め、女性の視点を活かした科学と技術によってより
良い地球環境を実現
する。
2.このネットワ−クを通し、21世紀における真の意味での男女共同
参画社会を世界的規模で実現させる。
3.次世代を担う子供たちに、科学と自然の大切さを伝え、21世紀の
リ−ダ−を育てる。

 

DECLARATION
1.ICWEA-11 calls upon its members to expand and strengthen
international networking to achieve a better global environment
by incorporating women's perspective.
2.The network will promote gender equality worldwide towards
a better 21st century.
3.We call upon the scientists and engineers to share their
enthusiasm and knowledge of nature sciences and technology with
next generation.


 最後に、日本で開催するにあたって8年に渡り奔走されて、成功に導かれ、 且つ、理系女性に希望を与えてくださった母体団体の日本女性科学者の会数野美つ子会長に敬意と感謝の意を表し、 朝日新聞に紹介されている記事を転載致します。


数野美つ子さん(71)前東邦大学教授(素粒子物理学)
 国際女性技術者・科学者会議が先月末、千葉・幕張メッセで開かれた。
36ヵ国と地域から約1400人が参加し、地球環境をテ−マに議論した。 1964年に米国で第1回が開催されて以来、11回目。「日本女性科 学者の会」の長として8年前から準備に飛び回ってきた。
 「まず国内の女性のネットワ−ク作りから始めました」。女性の技術 士や建築家、薬剤師の集まりと連携。直接、世界中の研究者に電子メー ルで呼びかけ、プログラムやポスター製作も担当した。 プログラムです。綺麗にできました。
「国により事情は違うけれど、女性は孤立しがち。情報交換できる会議の意義は大きい」
 現在もジュネーブにある欧州合同原子核研究機関の加速器でニュート リノを研究している。同時開催の「こども科学者会議」では、3匹の犬 がトンネルに入って、出てきた時にはウサギが1匹交じっていたという たとえ話で、ニュートリノの「変身」を紹介した。
 「最先端の科学の話題にみんな目を輝かせた。
子供たちの自然への興味を伸ばしてあげたい」
 4日間の会議の最終日には、環境問題への女性からの発言の必要性、
21世紀を担う子供たちの教育の大切さを提言にまとめた。
 「女性だからと肩ひじ張っているうちは、まだまだだめ」
 「女性」という断り書きが要らない社会を作るのが夢だ。
平成11年8月6日朝日新聞夕刊(科学面・夢中人)より