上勝まるごと体験ツアー参加報告

6月2日、3日の2日間、徳島県上勝町の町おこし「上勝まるごと体験ツアー」に行ってきました。
参加者は10名で東京から8名、高松から1名と地元の花岡さんです。
上勝町はJR徳島駅から車で約1時間の周囲を山に囲まれた町民約2200人の町です。
私は徳島を訪れるのは初めてでとても楽しみにしていました。地元の花岡さんの企画で下記のような体験をしました。
(1) 橿原の棚田での田植え
(2) ごみ34分別について
(3) 地元の新たな名所雄渕、雌渕見学
(4) ほたるの鑑賞
(5) ダム付近での山彦の体験
(6) 彩りのとりくみについて
どれも大変興味深い内容で町民が一体となって行っている地元の取り組みに関心しました。

ゴミ分別の取り組み
参加者の感想はそれぞれ異なるかと思いますが私はゴミ34分別について凄いと思いました。人口2200人という恵まれた?環境なので出来るのではないかと思いましたが、ごみ35品目を分別して基本的には回収再利用をしてどうしても出来ないものは焼却と埋め立てにするとのこと。焼却埋め立ては約30%、ほかは再利用をしているとのこと。回収は一人一人がゴミステイションに持参をして35に別けて箱にいれます。どうしても運んでこられないお年寄りに関しては町が代行してくれるとのこと。

こういう取り組みをするとゴミの量が減り町民の意識の向上に大変役立つと思いますが、大都会では困難な面も大きいですが分別回収で少しでもゴミの量を減らそうとする意識が大切だと思いました。なお、これは平成9年から実施し、平成17年からNPO法人が管理指導して実施しています。
17年度の上勝町ゴミ排出量は340トンで焼却埋め立て97トン、リサイクルが252トンです。
ちなみに分別35品目はアルミ缶、スチール缶、スプレー缶、金属キャップ、透明ビン、茶色ビン、その他のビン、リサイクルビン、その他のガラス、乾電池、蛍光灯、蛍光灯の壊れたもの、鏡体温計、電球、トレイ、古布毛布、紙パック、ダンボール、新聞チラシ、雑誌コピー用紙、割り箸、ペットボトル、ペットボトルのふた、ライター、布団類、紙おむつナプキン、廃食油、プラスチック包装容器、スリッパ靴など、廃バッテリー廃タイヤ、粗大ゴミ(机たんすなど)、家電製品、生ゴミ、農業用廃ビニールです。

このほかについても簡単に触れます。
橿原の棚田の田植え
橿原の棚田は日本の棚田百景にも選ばれていますが、山間の斜面を有効に利用したもので江戸時代から継承されています。現在は休耕もありますがオーナー制度で地元以外の方も参加して棚田を守っています。今年は徳島は雨が少なく水不足で田植えも遅れ気味とのことでした。

蛍の鑑賞
藤川村でのほたる鑑賞は今年で4回目です。地元の方の手作りお弁当に舌鼓をうち、そのあと蛍のことについての説明やクイズを楽しみ7時半ごろから河原でほたる鑑賞をしました。昨年は非常に多くて目を見張る感じだったとのことですが今年は遅れているとのことで数十匹が飛び交っている感じですがそれでも楽しく鑑賞しました。東京は暑かったようですが上勝の夜は15度くらいで肌寒くほたるも寒さで飛び交うのがイヤだったかもしれません。

ダム付近での山彦体験
翌日朝からマイクロバスで正木ダムに向かい途中で山彦を体験しました。
ダムの貯水量は少なくここでも水不足を感じました。
花岡さんが主催する自然体験研究会でヤッホー調査を立ち上げダム付近の山彦を調べ発見者が命名をして現在約70箇所で認定を受けています。私たちもその数箇所で大声を出して久しぶりに山彦を聞くことが出来ました。山彦は晴れより曇りや小雨のお天気のほうが良いとのことでその点では条件が良かったでした。ほら貝で山彦を聞きました。ほら貝を吹くのはすごく難しいですが、高松の渡辺美樹さんはすぐほら貝を吹くことが出来て達人の武市さんに助手で一緒にしたいですねと誘われていました。

雄淵、雌淵の見学
藤川村から山に向かって歩く途中に2本の滝があります。これから上勝の新しい名所にしようと地元の人が整備していますが、今年は雨が少なく水量がないため、かわいらしい滝でした。

彩りのこと
いまや高級料亭では料理の飾りとしての彩りは料理を引き立たせる大切なものになっています。上勝町では今から18年前ごろ台風でみかんが全滅して新しい取り組みを考え彩り事業を立ち上げたとのこと。多くの苦労があったがいまは年間2億5千万の収益を上げているがその中心は70歳以上のお年寄りが中心で頑張っています。種類は300種を超えていて上勝ブランドとして注文が全国各地から来てお年よりもパソコンで注文を受けているとのことです。
彩りを出荷している美馬さんに色々お話を伺ったなかで、昔は季節のものを山で採取していたがいまは栽培をして一年中要求される品物を出荷しているとのこと。たとえば正月のおせちなどには緑のものが要求され、もみじやなんてんなどの葉は紅葉していない緑の葉を冬場出荷するなど工夫をされています。

その他
ホテルは月ヶ谷温泉(上勝に一箇所)の月の宿に泊まりましたが体が温まる温泉でした。
今年の10月27日から11月4日の9日間徳島県で国民文化祭が開催されますが、上勝町では5名のアーチストの作品が展示されます。里山に作品が展示されるとのことですので是非訪れてみてくださいとの事でした。

感想
上勝町がいきいきと町おこしをすることになったのは仕掛け人(花岡さん属する自然体験研究会その他)がいて、それをサポートする町を愛する人がいることが大切です。仕掛け人は住民や役場に趣旨を説明して実行する手助けも必要です。これらをきめ細かく継続することはその町を愛しているからできることではないかと思いました。町民、役場が仕掛け人と一体になって取り組むようになるまでは大きな努力があったと思いこれからもますます元気な上勝町であってほしいと願いました。

                           以上  報告 氷上澄子