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地下鉄13号線工事現場見学会

 10月下旬とは思えないような好天に恵まれた土曜日朝、私たちは渋谷駅近くの東急建設本社会議室に集合しました。今日は、土工協(社団法人日本土木工業協会)の協力で地下鉄13号線工事の現場見学です。参加者は、小学生も含めた28名。早速東急建設の担当者の方から工事概要の説明を受けました。

 地下鉄13号線は、東京メトロ渋谷駅から池袋駅を結ぶ路線で、東京では最後の地下鉄工事とも言われているそうです。平成20年開通予定で併せて、平成24年には、東急東横線が代官山から地下化されてこの地下鉄13号線に乗り入れ、神奈川県から埼玉県まで乗り換えなしで行けるようになるということでした。
 しかし、渋谷から池袋を結ぶ明治通り下を通るということは、大変な過密状態にある繁華街を通るということで、さぞかしご苦労も多いのではないかと思われます。今日は渋谷駅部分の工区を見学します。ここは、銀座線と半蔵門線の下に新しい駅と線路ができることになります。

 説明後、ヘルメットと軍手、さらにイヤホン(工事の騒音で説明が聞こえないため)を装着し、早速、現場に向かいました。まさか、渋谷駅前を現場ヘルメットをつけて歩く機会があるとは、思いもよらずワクワクして横断歩道を渡りました。現場は、本当の駅前すぐの所で、車両・人ともに大変に交通量の多いところです。地下現場への入り口は、意外に狭く、人がひとりずつ下りるのがやっとという感じで、パイプの手すりを掴みながら、時々頭をぶつけたりしながら、地下へ下りました。地上は、車が渋滞し、人の往来が絶えない場所ですが、その地下にこんなに広い空間が拡がっているとは地上の人は、誰一人想像もできないでしょう。最初に見た工区は、銀座線を下受けする場所で、数ミリの沈下も許されない工事であるという話に身が引き締まる思いがしました。
 昭和初期に作られた銀座線基礎下の杭は、図面では松杭であったが、掘ってみたらPC杭だったということで、現物がありましたがまだまだ使えそうなきれいなものでした。銀座線のアンダーピーニングは逆巻き工法で行われていました。地下には、当然のことながら、上下水道、高圧電線他さまざまなライフラインが通っており、それら埋設物を慎重に避けながらの工事です。
 次に実際の線路になるトンネル部分へ行きました。シールド工事は既に終わって、線路を敷くのを待つばかりという状況でした。ここは複心円シールドという工法で、経済性を考えて、正円ではなく、歪んだ円形断面のトンネルで、壁面はセグメントと呼ばれるコンクリートパネルがブロックのようにはめ込まれていました。仮設階段を下りたり上ったりしながら、現場見学を終え、会議室へ戻りました。最初の説明だけでは、よくわからなかった点も実物を見たことで、理解することができ、その時疑問に思ったことも、親切に説明していただきました。担当者の方々は、安全に工事を進め、立派な地下鉄を作る仕事に自信と誇りを持っていることが感じられました。

 土木分野というのは、土や水を相手にするダイナミックな仕事でありながら、大変な繊細さを要求されることも多くそういう意味からも、とても魅力的な仕事であると思います。
 土曜日の午前中だったせいか、女性技術士の会メンバーは、6名の参加で、少し寂しかったのですが、大変に貴重な経験をさせていただきました。将来的には、代官山からの地下への切り替え工事(営業中の路線を一晩で切り替えるらしい)、東横線渋谷駅地下化に伴う渋谷駅周辺再開発など、これからも目が離せません。


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