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2006年08月31日
図書購入予算ゼロの図書館建設
図書館づくりのために、本の寄贈を全国に呼びかけている町があります。
2001年、「合併しない宣言」をしたことで一躍有名になった「矢祭町」。8月30日の毎日新聞によると、29日には、愛知県の個人から、なんとダンボール87個分の図書が届けられたとのこと。 8月31日(木)現在、寄贈された図書は147,463冊と発表されました。
7月中旬、図書寄贈依頼の記事を見た時に「あぁ、矢祭町らしいな」と思いました。
矢祭町は福島県の最南端、茨城県との県境に位置する人口約7,000人の山深い町です。
2003年秋、ニュータウンの見学を目的として矢祭町を訪れたことがあります。矢祭町役場の庁舎は木造、とても古く小さい建物でした。たしか玄関で靴を脱いだような気がしますが、間違いだったらごめんなさい。地方都市では、下足を禁じている公共施設が意外と多くあります。
この「つつじヶ丘矢祭ニュータウン」、1997年に造成されたものですが、売れ行き好調で、当時、有名な「物件」でした。都心居住者のセカンド・ハウス、あるいは定年退職後の住まいとして、自然に囲まれた田舎での生活がウリでした。
町は、田舎暮らしを紹介する雑誌に特集を組んでもらったり、新聞広告を出したり……と自治体らしくない活発な販売促進策を展開しており、評判が口コミで広まったようです。さらには、矢祭町の自治の精神に共感した人も移り住んできたと聞いています。
ニュータウンの入り口 & 集会場。
2003年当時建築された住宅は多くはなかったです。
現在、ニュータウンは、全274区画のうち44区画が売りに出されているので、84%は分譲済みという計算にになります。
さて、矢祭町では、2005年度の町民アンケートで「図書館がほしい」という希望が一番だったそうです。町の幹部職員の給与を30%もカットして、財政再建に取り組んでいる町ですので、立派な図書館を新築する予算を捻出することなどできない相談ですが、矢祭町は考えました。町の既存施設である柔剣道場を補強・改修して図書館とし、本は全国から寄贈してもらうことになりました。図書館の運営は町民が直接行います。
私は、さらっと読む本は図書館で借り、読み込む本は(購入しますが)書き込んだり、不要部分を破いて捨ててしまったりするので、手持ちに、不要でかつきれいな本というのはほとんどありません。けれども、矢祭町の図書寄贈依頼の記事を読んだ後、少しでも協力したいと思い、本棚を整理しました。……が、これというのは見つかりませんでした。
ハリー・ポッターのシリーズや学生時代からずっと必ず初版を集めている村上春樹の本を、断腸の思いで送るかどうか、迷っているうちに、新しい情報が報道されました。予想を遥かに上回って、全国からどんどん本が届いていることがわかりました。
そうなると、心配なことがあります。改修する図書館の予定蔵書数は、たしか36,000冊でした。現在でも15万冊近くが集まっており、収蔵しきれないことは明らかです。さらには、本の重複が著しいと思われます。BOOK-OFFをみても、人気作家の本は同じ物が何冊も列をなしていますから。
県の図書館の職員が手伝ってくれているそうですが、15万冊のランダムな本の山を、素人の町民の人々が分類するのは一大事業です。
全国からのせっかくの善意に応える、よい方法がみつかるでしょうか?
投稿者 MCAT : 2006年08月31日 22:15
コメント
私の実家の近くに、個人が自宅に図書スペースをつくって、近所の子供に提供している家があります。世の中には、えらい人がいるなあと思います。
投稿者 一口カステラ : 2006年09月03日 04:27
独断と偏見で集めた私設図書館の館長さん。
定年後、やってみたいです。
投稿者 MCAT : 2006年09月04日 01:28