2006年09月17日
著作権
このブログを書いていて、著作権に関して気になった時に、その都度調べてみたことを、簡単にまとめてみます。もちろん著作権の全容を網羅していませんし、基礎的なことだけです。このブログの今後の筆者の方々や、ご自身のブログを書いていらっしゃる方々の、ほんの少しのご参考になればと思います。
著作者人格権及び著作権は、著作権法(1970制定)・知的財産基本法(2002年制定)などによって守られています。著作者の人格的価値を保護するために著作者人格権があり、著作者が自分の著作物を他人に勝手に利用されないための権利として著作権があります。
著作権は、工業所有権のように登録などの手続きを必要とせず、著作物を創作した時に自動的に発生し(無方式主義)、著作者の死後50年まで存続します。他人の著作物を権利者の許諾なしに利用すれば権利の侵害となりますが、被害者が告訴することによってはじめて提訴される親告罪です。
著作物は私的な財産ですが、外部に発表されているものである限り、他人に利用される場合もあります。著作権法では、利用の公益性を考慮し、ある一定の条件を満たしている場合には、著作権の制限を規定し、著作物を自由に利用することを認めています。
ブログ作成に関連して、基本的なことをまとめてみます。
著作権に関しては、多種多様な組織・団体が(個人も)見解を出していますが、それぞれに微妙に相違もあり、一概には判断しきれない部分もありました。
●著作物
著作権法第2条1項1号に、著作物とは『思想又は感情を創作的に表現したものであって……』とされているとおり、誰がどのように表現したものであっても、他人が知ることができるように外部に表現された創作物であれば、著作物といえます。創作性が認められれば、ホームページやブログも著作物です。
しかし、例えば、表題・キャッチフレーズ・題名は、通常は保護されないという見解(社団法人 著作権情報センター)や、『見出しにも新聞社としての創意・工夫が込められており、著作物である』(社団法人 日本新聞協会)という解釈もあり、一概に言い切ることはできません。
●転載
他人の著作物をそっくりそのまま利用するには、著作権者の許諾が必要になります。
●引用(言語の著作物の場合)
下記の5点を満たしていれば、著作権者の許諾なしに、著作物を引用することができます。
(1)著作物の中で、本文が「主」、引用部分が「従」でなければなりません。創作性のある本文の中に、説明・補強のために必要な他の著作物を利用するというのが引用です。
(2)引用部分の量が、本文より少ないことも必要です。
(3)原文をそのまま使い、原文を書き換えたり、削ったりしてはいけません。同一性保持権を侵害する可能性があります。
(4)引用部分をカギカッコなどで括り、明示する必要があります。
(5)引用部分の著作権者名と著作物の題号、新聞の場合は日付など、出典を明示しなくてはなりません。
●翻案・抄録(言語の著作物の場合)
もとの著作物を見なくてもその全内容がわかるように要約したものは、著作権法上の翻案に当たり、著作権者の許諾が必要であると言われています。また、作品の存在を知らせる目的で書かれる短い要旨などは抄録と考えられ、翻案には当たらないと言われます。が、これらも一概には言えず、判断は難しいです。
●画像の著作権
写真、イラストなどの画像も著作物ですので、無断の転載はできません。
著作権料が無料で自由に使ってもよい画像でも、著作権自体は放棄していないものがほとんどです。著作権表示を義務づけているものもありますので、画像を使用する場合は、使用条件を確認することが必要です。
著作権はなんら表示をしなくても法によって保護されるのですが、逆に、使用は自由でも
著作権を放棄していない他人の画像を使っている場合、ホームページやブログなどに、All copyright reserved by …… というような表示をすることはできません。
●HTMLソースの著作権
HTMLで作られるページのレイアウト(中に書かれた文章ではなく)は著作物とは認められないと考えるのが一般的のようです。が、「サイトのコンテンツをHTMLソースごとそのままコピーすることは禁止する」旨の表記をしているサイトもあります。
女性技術士の会のホームページには「禁無断転載」のお断り書きが明示されていますが、これがなくても許諾なしの転載は著作権法によって禁止されていますし、引用は許されています。
余談になりますが、著作権に関連して3つばかり。
ディズニーの「ライオン・キング」は手塚治虫の「ジャングル大帝」を模倣したのではないか、と話題になったことがあります。その際、手塚治虫の著作権を管理している手塚プロダクションは、盗作であるかどうかに関係なくディズニーを告訴しないことにしました。「仮にディズニーに盗作されたとしたら、手塚治虫は訴えるどころか喜ぶはずだから。手塚治虫はディズニー・ファンであった」というのが理由です。手塚治虫の長男である手塚眞氏は、「ディズニーへのバッシングに荷担したくないこと」「文化は模倣によって成立すること」「ライオン・キングには白いライオンは登場しないこと」などなどを上げて、問題視していないことを説明していました。
青井汎氏は著作「宮崎アニメの暗号」(新潮新書)の中で、「となりのトトロ」はスペイン映画「ミツバチのささやき」に酷似していることを指摘しています。この新書を読むと、たしかにそっくり(!)と言うべき内容です。しかし、青井氏はこれを、模倣あるいは翻案映画とは言わずに、換骨奪胎、変奏曲と呼んでいました。
藤原定家が「詠歌大概」に、「本歌取り」に関して記しています。
「取り過ぎ」はよくない、2句を超えて取る場合でも、せいぜい2句プラス3、4字くらいまでが許容範囲である、とのことです。
「量的に半分以下」というのは、著作権法の引用の規定と同じですね。
藤原定家の著作権は当然ながら既に切れています。
最後に、著作権に関連する組織・団体をリストします。何かの時にお役にたつかもしれません。
・社団法人 著作権情報センター
・社団法人 日本複写権センター
・有限責任中間法人 学術著作権協会
・デジタル時代の著作権協議会
・社団法人 日本新聞協会
・新聞著作権協議会
投稿者 MCAT : 2006年09月17日 22:15
コメント
ブログ等インターネットで、誰もが世の中に情報を発することができる時代に、著作権に気をつけないといけないなあと思いました。
投稿者 一口カステラ : 2006年09月18日 14:11