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2006年11月13日

友禅その1

こんにちは。白鳥です。

趣味の手描友禅染をご覧いただきたいと思います。
友禅は、京都の扇絵師だった宮崎友禅斎が始めたといわれています。京都の知恩院に友禅斎の碑があります。偶然かどうかわかりませんが、知恩院は私が友禅を学んでいる梅窓院の総本山でもあります。

友禅斎は、扇に絵を描くように着物を染めたのだと思います。友禅によって、それまでにない自由な模様、美しい色彩、豪華な図柄が染められることとなりました。
加賀友禅も友禅斎によるものといわれていますが、「加賀五彩」を使うことや、ぼかしの濃淡の付け方が京友禅と逆であること、「虫食い」という独特の技法を用いるなど、京友禅には見られない特徴があります。

友禅は、普通、模様の輪郭を糸目糊という糊でくくり、その中を彩色します。彩色することを「友禅する」といいます。糸目糊でくくることは非常に難しいのですが、細くて均一な糸目は最後に洗い流されて、やさしくたおやかな白い線となります。川で糊を洗い流す作業が「友禅流し」です。神田川沿いは染物屋が多く、昔は神田川でも友禅流しが行われていたのかもしれません。

糸目を付ける友禅を本友禅または糸目友禅と呼びます。これに対し、糸目糊でくくらず、生地に直接彩色する方法を無線友禅といいます。無線友禅は糸目の手間はありませんが、糸目糊で防染できないため、滲まないよう、筆の速さが必要となります。

01 ポピー友禅.JPG

これは、無線友禅でポピーを描いたものです。

02 桜草友禅.JPG

桜草です。

03 ヒメサユリ友禅.JPG

ヒメサユリです。これはヒメサユリの花をスケッチして描きました。

04 ヒメサユリスケッチ1.JPG

ヒメサユリのスケッチです。

05 ヒメサユリスケッチ2.JPG

友禅の手順は、スケッチすることから始まります。スケッチの後は、図案→下絵→糸目糊→地入れ→彩色→伏せ糊→地入れ→地染め→仕上げとなります。下絵は反物を着物に仮縫いした状態で描き、それ以外の作業は、仮縫いしたものを再度ほどいて反物の状態にして行います。
植物や動かないものはそのままスケッチしますが、動物など動くものはあらかじめ写真を撮ってからスケッチすることもあります。

06 クリスケッチ1.JPG

クリのスケッチです。写真からスケッチしたものです。

07 クリスケッチ2.JPG

08 クリスケッチ3.JPG

09 クリ友禅1.JPG

クリを糸目友禅で着物に染めてみました。

10 クリ友禅2.JPG

以前の家の裏に蕗の葉や萱の葉が茂っていて、クリは脱走すると嬉しそうに満足しきった顔でこちらを見るのでした。

11 クリ友禅3.JPG

スズランとクリをあわせてみました。

12 クリ友禅4.JPG

桜草とクリです。蝶々も飛ばしました。

13 クリ友禅5.JPG

小菊とクリです。香りを味わっている、「違いのわかる」クリです。

14 クリ友禅6.JPG

猫じゃらしの中で何を想うやら。

15 クリ友禅7.JPG

もみじにチュッ。トンボもいます。

16 クリ友禅8.JPG

草むらでご満悦のクリです。


17 ニオイウツギスケッチ1.JPG

匂いウツギのスケッチです。匂いウツギは、初夏に咲く花でとても良い匂いがします。花芯が紫の小さな白い花で、枝がしなって風情があります。

18 ニオイウツギスケッチ2.JPG

19 ニオイウツギ友禅1.JPG

匂いウツギを着物に染めました。花芯の紫のぼかしを丁寧に楽しんで染めたことを思い出します。

20 ニオイウツギ友禅2.JPG

21 ニオイウツギ友禅3.JPG

今は友禅に時間をかけることができず、久々に自分の染めたものを見て、懐かしいやら寂しい気持ちです。

次回もまた友禅です。

投稿者 shiratori : 2006年11月13日 22:41

コメント

白鳥さま

素晴らしい趣味ですね。
というより、趣味の範囲を遥かに越えていると思います。
特にウツギの友禅、とっても素敵です。
着物に仕上がると、図柄のレイアウトや、全体としてのバランスがどう見えるのか知りたいです。
できれば、着た時に、どんなに素敵に見えるのか、是非是非知りたいです。(次回へのリクエスト!)

投稿者 MCAT : 2006年11月14日 21:01

本当に、趣味の範囲を越えてますね。すごすぎる。
MCATさんの言うように、私も全体像を見てみたいです。クリはたくさんいるけど、小さいクリが着物のあちこちにいるのでしょうか。いいなあ、いいなあ。で、やっぱりこういうのは、文字通り猫が絵になるのでしょうか。リキでは着物らしくないか。リキの手提げ袋とか可愛いと思いますが。犬猫飼いとしては、たまりません。
次回も期待しています。

投稿者 ひよこ : 2006年11月15日 09:46

MCATさん、ひよこさん、コメントありがとうございます。すごく癒されました。
古い友禅はもともとユニークな図柄や大胆な図柄が多いです。私は何を題材にしてもかまわないと思っています。
もちろん犬でもOKですし、一般的にうさぎや狐など、いろいろな動物が図案にされています。リキのモチーフも考えてみたいと思います。
着物の全体像は、衣桁にかけて写せばよいのですが、なにしろバックがウチの壁だったりして、あまりよろしくないのです。
お見せしているのは上前が中心です。クリの配置がわかるようなものも撮ったのですが、大抵夜遅くに撮っているためか、写りが悪くて削除してしまいました。再度チャレンジしてみますね。
ちなみに、クリは当初結構大きかったのですが、先生がびっくりして(他の教室にまで「大きな猫がいるんですよ」と報告されていました)、一回り小さくしました。
あと、着た時にどうなるのかは、HPでは恥ずかしくてお見せできませんので、機会がありましたら、個別にお見せします。

投稿者 shiratori : 2006年11月15日 19:57

白鳥さん、個展ができそうですね!
スケッチから実際の友禅になる過程も興味深いものがあります。そもそも、友禅を始めようと思ったきっかけは、何だったのですか?

投稿者 authenticity : 2006年11月17日 12:53

私が友禅に興味を持ったのは、高校生のときにテレビで友禅流しを見てからです。友禅は、水に放たれたときが最もきれいなのです。着物を着ることには当時はまったく興味がありませんでしたが、昔からきれいな色が大好きでしたので、友禅に惹かれました。母に、京都で友禅をしたいというと、私にはそんな修行ができるわけがないと言われ、自分でもそうだな、と思ってしまい、諦めました。
30歳近くになって、友人の従姉妹が友禅のプロなのを知ったのがきっかけで、今の学院で学ぶようになったのです。
はじめの頃は寝ていても図案や色が頭に浮かび、夜中に起きてしまうことがありました。楽しかったです。
また、そんなときが来るかなぁと思っています。

投稿者 shiratori : 2006年11月17日 17:51

「寝ていても図案や色が頭に浮かび、夜中に起きてしまう」って、まさに寝食を忘れてという感じですね。よほど白鳥さんの気持ちに合ったこと(趣味というには過ぎており、仕事ではもちろんなく、適切な言葉がみつからないので、あえて「こと」にしました)なんですね。
先生も驚く「大っきいクリ」も、タペストリーなどにしたら素敵でしょうね。うちの犬猫も発注したいくらいです。

投稿者 ひよこ : 2006年11月19日 11:00

ひよこさん、ありがとうございます。いつか、わんにゃんシリーズをやってみたいです。ライフワークにしても楽しいかも。自分でも、そんな日が来るのを心待ちにしています。

投稿者 shiratori : 2006年11月19日 22:07