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2006年11月19日

友禅その2

こんにちは。白鳥です。
今回も友禅をご覧いただきます。
はじめは池に雪が降っているところを着物に染めたものです。

01 池に雪.JPG

糊をおいてふんわりした雪を表現してみました。友禅では白い色は染料ではなく胡粉という顔料を使いますが、ここでは白い雪は糊で防染しています。つまり、生地の色がそのまま出ています。

02 池に雪コイ.JPG

コイが泳いでいますが、このコイは、陶器の図柄をまねしたものです。

03 池に雪寒椿.JPG

この寒椿は前の家から持ってきたもので、何年かきれいに咲きましたが、無理をしたみたいで、残念ながら枯れてしまいました。

05 池に雪笹の葉.JPG

小さい笹の葉がたくさん出ています。

06 池に雪右外袖.JPG

友禅の柄は、上前にたくさん付けます。袖は右の外袖に最も多く、次に左の内袖に多く付けます。これは肩から右の外袖にかけての模様です。

07 池に雪左内袖.JPG

胸から左の内袖の部分です。

次も着物で、一重の綸子です。古典の着物の写真集でとても気に入った図柄があり、真似をしてみました。図案は似ていますが、色彩はまったく違います。これはかなり凝った技法を使っています。ぼかしに特徴がありますし、葉と茎の部分はうつし糊を使いました。糊に染料を混ぜ、それを生地に置いて染めます。バックの地の色と似せることで、葉や茎が地の色に溶けるようにみせたつもりです。これに白い帯を合わせるとなかなか良いものです。

08 古典百合1.JPG

09 古典百合2.JPG

10 古典百合3.JPG

次は夏紬にススキを描いたものです。これもうつし糊を使って影の部分を表現しました。昨年韓国で行われたICWESで着ました。夏紬はシャリ感やもともとの地の色が渋くて素敵です。

11 ススキ1.JPG

12 ススキ2.JPG

13 ススキ3.JPG

次はまだ仕立てていない帯で、模様は花更紗です。友禅の技法ではなく、こうした更紗の技法も使います。下絵を付けた後は、面倒な糸目のかわりにリキテックスを使って輪郭を描いています。好きな色をたくさん使ってお絵かきをするように楽しめます。

14 花更紗帯1.JPG

15 花更紗帯2.JPG

16 花更紗帯3.JPG

17 花更紗帯4.JPG

18 花更紗帯5.JPG

19 花更紗帯6.JPG

20 花更紗帯7.JPG

21 花更紗帯8.JPG

22 花更紗帯9.JPG

おまけで花石榴と美女栁のスケッチをご覧いただきます。どちらも図案化して帯を染めたのですが、どこかに紛れてしまって見当たりません。スケッチだけご覧ください。

23 花石榴スケッチ1.JPG

24 花石榴スケッチ2.JPG

25 美女栁スケッチ1.JPG

26 美女栁スケッチ2.JPG

投稿者 shiratori : 2006年11月19日 22:16

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コメント

白鳥さま

友禅その2、楽しみに待っていました。
その1とは趣を異にする作品の数々……「うっとり!」の一言です。
こうなると、全体像を見たい、お召しになった姿を拝見したいと、ますます期待してしまいます。
1月の新年会にその機会が!!!

投稿者 MCAT : 2006年11月20日 12:46

MCATさん、ありがとうございます。着物を着た写真でしたら新年会に持って行けると思います。実物ということでしたら、お酒をセーブしなければならないとか、その辺の制約がありますし、ちょっと考えてしまいます。無理かなぁ。

投稿者 shiratori : 2006年11月21日 00:13

本当に素敵です。池に降る雪に寒椿の赤が映えて,鯉の青や蕗(?)の緑など多色使いなのに派手でなくて。ススキも,いったいどういう眼で見たらあんな色に見えるんでしょうか。
で,私もぜひ「実物」を拝見したいです。でもなあ,お酒をセーブしてる白鳥さんも淋しいし,写真で我慢するしかないか。

投稿者 ひよこ : 2006年11月21日 21:14

ひよこさん、ありがとうございます。本来淡くてきれいな色が好きですので、渋く押さえるのに苦労します。結果としてちっとも渋くないとよく言われます。「実物」の話ですが、着物を着ること自体が結構しんどいので、無理なのです。たはっ。よっぽどリフレッシュできていれば話は別ですが...

投稿者 shiratori : 2006年11月21日 21:44

雪なのですね。ほんとに素敵ですね。
芸術品でありながら、実用品でもあるというか身にまとえるなんて素晴らしいですよね。動く芸術品ですよ!しかも自分で描いたものだなんて、本当に宝物ですね。
更紗もまたいいですね。抽象的というか、よりデザイン的ですね。
完成品はとても素敵ですが、課程はとても手間がかかって、根気のいる仕事なのでしょうね。相当時間がかかるものなのですか?

投稿者 authenticity : 2006年11月23日 22:08

authenticityさん、ありがとうございます。
友禅は手間のかかるものです。休みの日などの出来るときにやっていて、まとめて作業したことが無いので、実際どのくらいかかるか正確にはわからないのですが、模様の多い着物ですと、生地に下絵をつけるだけで1日かかることもあります。生地が重なる部分も付けるので、時間がかかるのです。
糸目は着物ですと3日~1週間かかると思います。彩色も数日かかります。その後、彩色した部分に伏せのりをしますが、これも同じくらいかかります。のりの乾き具合にも左右されます。
上記の作業の間に着物のかたちに仮縫いしたり、ほどいたり、地入れや地染めを外注したり、蒸しをしたりと、中間の工程がたくさんあります。
着物で毎日作業して1ヵ月くらいで、疲れない程度に作業するにはもう少しかかるかもしれません。
今は仕事があるので、図案からはじめて半年~1年かけて作成しています。でも最近は着物を作るエネルギーがない状況で、小さいものをちょこちょこ作ろうと思っています。

投稿者 shiratori : 2006年11月24日 13:10

友禅の工程の件。
相当に時間のかかるものだとは思いましたが、毎日作業しても1ヶ月!かかるわけですか。
作業が細分化されていて種類がたくさんあることは、友禅の作品の素晴らしさからしてすぐに納得できます。ふむふむです。
気になるのは、ひとつの工程に数日以上かかるようだと、不具合にならないのかしら、ということです。
一番心配なのは「彩色」。これは、一気にやらないと色味が微妙に変わってしまうような気がします。どんな染料を使うのか、全然わかりませんが、同じ色を保つための何か工夫があるのでしょうか? 例えば、のりは、時間がたつと湿度が変化して、ムラになってりする、なんてことはないのでしょうか?

作品のなんとも形容しがたいほどの美しい色使いや微妙な雰囲気のぼかしを見ていると、細かい技術的なことまで気になってしまします。

投稿者 MCAT : 2006年11月25日 18:29

MCATさん、彩色で気を使うのは「あいくち」のところです。着物は反物を縫っていますので、縫い合わせた右と左で色が違うとおかしいですよね。ですので、この部分は時間を置かないで続けて彩色します。この部分は、生地が重なりますので、模様も二重に付けます。
彩色した上に糊を置く場合、事前に蒸して色を定着させますので、糊がその上に載っても影響はありません。完全に乾かしてから次の工程に進みます。

投稿者 shiratori : 2006年11月28日 13:13