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2007年01月29日
雪輪ストールと雪輪梅文様帯
1/12にご紹介した白鳥さんの雪輪ストールです。白鳥さんが着用している姿をMCATさんが撮影してくださった写真をお借りしました。
全体の柄はこういう配置で入っているんですね。前から見ると左右の柄の入り方に軽重があって,ススキはススキで,雪輪は雪輪で引き立ちますし,後から見るとススキに雪輪が舞い降りている一体感があって,これまた素敵です。洋装にも良く似合います。趣味と実益を兼ねた,とよく言いますが,白鳥さんの趣味は趣味の領域を超えて,これで生計が立てられるのではないでしょうか。
そして,雪輪ストールを見ているうちに,何となくどこかで何かに通じる,と思っていたものに突き当たりました。仙台市博物館で見た『雪輪に梅文様帯』(写真左)です。「雪輪」と言った(聞いた)ときから何となくひっかかっていたのですが,白鳥さんの背から見たストールの柄を見てようやく気づきました。「渋い色の地に,植物の枝花に重なる雪輪」という記憶の中の相似性です。ところが,調べてみたらこれが全然似ていませんでした。人間(私)の記憶って当てになりませんね。この帯は,仙台藩4代藩主伊達綱村の母(三沢初子)のものと伝えられています。
ついでなので,正宗が愛用してた有名な陣羽織もご紹介します。この陣羽織は,『紫羅背板地五色水玉文様陣羽織(むらさきらせいたじごしょくみずたまもんようじんばおり)』と言います。羅背板(らせいた)とは薄い毛織物を指します。その紫色の生地に,赤・青・緑・白・黄色の五色の大小の水玉を散らし,その輪郭を紐で縁取ってあります。この水玉模様は,地の生地を円形に切り抜き,そこに色の異なる別の生地をはめこむ切嵌(きりばめ)という技法(布地だけでなく彫金などでも使われる技法)で作られています。背には竹雀紋が金糸で刺繍されており,派手といえば派手ですが,現代に通ずる粋さも併せ持っているように思います。
そのため,この柄を生かしたお土産品もあります。お香立て(上左)に急須置き(上右),銘々皿(下左)に箸置き(下右)です。箸置きはうちでも愛用しています。
古典ながら現代にも美しく粋と感じる色柄の陣羽織。白鳥さんの独創的な雪輪ストールも,きっと時代を超えて愛される逸品になりますね。
投稿者 watanabe : 2007年01月29日 20:30
コメント
ほんとに素敵でしたよ~!
このブログで図案のアップの写真を観た時は、もっと小さい細かい柄かしら、と思っていましたが、↑の通り、意外と大胆なデザインで洋装にも上品に馴染んでいました。白鳥さんの雰囲気にぴったり(ご本人なので当たり前ですが)でした。
紅く紅葉した猫じゃらし、紅葉時の大粒の雪など、自然界ではあり得ない取り合わせですが、そこが自然の模写で終わらない「創造」の醍醐味だと思います。
投稿者 MCAT : 2007年01月30日 13:34
「自然の模写で終わらない「創造」の醍醐味」って本当にそうですね。「自然界ではあり得ない取り合わせ」というのも,白鳥さんの「楚々とした見た目に大胆な性格」そのもので,そこからあの創造性が生み出されているような気がします。
投稿者 ひよこ : 2007年01月30日 23:35
MCATさん、先日は楽しかったです。写真撮って下さってありがとうございました。
ひよこさん、ブログで紹介してくださってありがとうございます。本当は白いセーターに白いスカートをはいて雪輪のストールをかけようと考えていたのですが、冷え性なので、諦めました。
雪輪の帯は雪輪が大きくて大胆ですね。昔の作品はこのような大胆なものが多いです。大きな雪輪の中に草花を閉じ込めてもいいし、わざとはみ出して描いてもおもしろいです。
陣羽織もとっても素敵です。
昔の偉い人は、とっても物が良くて粋でおしゃれなものを身に着けていました。確か秀吉だったと思いますが、辻が花のシンプルで大胆で美しい色合いの羽織がありました。
うう、楽しい。
投稿者 shiratori : 2007年02月02日 18:56
白鳥さん,こういう話題になると本当に楽しそうですね。行間から書きたいことがたくさんあふれているように感じます。
白いセーターに白いスカートに雪輪のストール,素敵すぎ! ぜひ早春のおでかけにはその装いで,道行く人を振り返らせてください。いいなあ。私もまた久しぶりに白鳥さんの展覧会を見に行きたくなっちゃった!
投稿者 ひよこ : 2007年02月02日 20:37